注文住宅の打ち合わせや家づくりの情報収集を進める中で、「水まわりにはタイルがおすすめ」という話を聞いたことはありませんか?
実際、タイルは水や汚れに強く、おしゃれな空間を演出しやすい素材。
しかし選び方や施工方法を間違えると、完成後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔するケースも珍しくありません。
本記事では、タイル選びで絶対に押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。
「小口」や「貼り方」などの細かな要素が、家づくりの完成度を大きく左右しますよ!
1.タイルは「人工物」!天然石とはちがう素材
「タイル=石」と思いがちですが、じつは**タイルは天然石を真似した「人工物」です。
高温で焼き固めているため、模様や色合いがある程度パターン化されています。
天然石とのちがい
天然石 は1枚ごとに模様が異なる → 完全ランダムで唯一無二
タイル は焼成(しょうせい)工程でパターンが一定 → 同じ柄が繰り返される可能性
注意点
いかにも「繰り返しパターン」が見える貼り方をすると、人工的で安っぽく見えてしまう。
人工のため、商品によっては “滑りやすい” など特性が異なる。必ずサンプルや実物をチェックして選びましょう。
2.タイルの「小口(こぐち)」がデザインを左右する!
● 小口とは?
タイルの 側面 のことを「小口(こぐち)」と呼びます。
下記のように床や壁をタイルで段差仕上げした場合、小口が露出 する場所が出てきます。
表面と小口の色・質感がちがう タイルだと、段差部分だけ色が変わり、デザイン的にガッカリすることも…。
同色・同質感の商品を選ぶ か、 コーナー役物(小口を覆うパーツ) がある商品を選ぶかが大切。
● 小口を軽視すると…
「全面タイルで高級感を出したかったのに、段差の横だけ色が違う…」といった残念な結果に。格好良くするはずが、人工感 が際立ってしまうケースも多いので要注意です。
3.タイルにも「内装用」「外装用」がある
タイルは主に 焼き加減(焼成温度)などによって、吸水率や耐久性が変わります。
1類(磁器質タイル)
約1200℃前後で焼き、水の吸い込み(吸水率)は1%以下。外装・床など強度を求める場所に最適。
2類(せっ器質タイル)
同じく高温で焼くが、1類よりやや低め。吸水率5%程度が目安。主に外壁・床で使用可。
3類(陶器質タイル)
焼成温度がさらに低く、吸水率20%以上。室内用として使われることが多い。
● 外部で使うなら「滑りやすさ」チェックが必須
外部や玄関ポーチにタイルを貼る場合、雨天時に滑りやすくないか を必ず確認しましょう。
カタログ上「外装用OK」とあっても、実際にサンプルを水で濡らして触り、滑り具合を確かめるのがおすすめです。
4.タイルの貼りパターンを知ろう
タイルは、貼り方(目地の取り方) 次第で印象がガラリと変わります。代表的な例を5つご紹介。
イモ目地(イメ貼り)
タイル同士を上下左右で揃えた、最もシンプルな貼り方。
整然とした雰囲気で、高級ホテルや店舗なども多用。
馬目地
煉瓦のように、横一列ごとに半ピッチずらして貼るデザイン。
シンプルながらほどよい“リズム感”を演出。
矢羽貼り(ヤハ貼り)
魚の骨のようにV字に連続する貼り方。ヘリンボーンに近いイメージ。
タイルに大きさ・長さのバリエーションが必要な場合も。
フランス貼り
長いタイルを2枚、短いタイルを1枚…と組み合わせる柄。
一見不規則に見えつつも、パターンが決まっている。
イギリス貼り
縦横のタイルサイズをランダムに組み合わせながら目地を合わせる手法。
自由度が高いぶん、施工の難易度も上がる。
5.水まわりでのタイルは要注意
「水まわりにはタイルがおすすめ」という情報は多いですが、次の点は要チェックです。
滑りやすいタイルは避ける
ツルツルした素材ほど危険度UP。
小さなお子さんやお年寄りがいる家庭は特に注意。
目地をあえて細くすると危険も
目地を極力なくした“突きつけ”施工は、角が尖っていると足裏をケガするリスクが。
掃除・メンテナンス
目地をなくすと掃除しやすい一方、角でケガする可能性が上がる。
タイル自体の表面は掃除がラクでも、目地が汚れやすい場合もある。
6.まとめ:タイルこそ「小口」と「滑りやすさ」を最優先でチェック
タイルは天然ではなく“人工物”
タイルの小口(側面)を理解する:段差の立ち上がりで色が変わると一気に残念に。
外装用 / 内装用 の区別だけでなく「滑りにくさ」もサンプルで確認。
目地・貼りパターン:イモ目地や馬目地など柄の演出を上手に活かせば高級感UP。
水まわりなら“突きつけ貼り”は痛さ・ケガに注意!
タイルは使い方次第で、高級感やナチュラル感を手軽に演出できる優秀な素材。
しかし小口の処理や貼り方、吸水率などの基本をおさえていないと、完成してから「あれ? ちょっとイメージと違う…」と後悔しがちです。
ぜひ本記事を参考にしながら、理想の家づくり・空間づくりにタイルを上手く活用してくださいね。
タイル1枚の選択が、あなたの家づくりを大きく変えるきっかけになるかもしれません。細部にこだわり、デザイン性も実用性も兼ね備えた素敵な住まいを目指してください!
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