全体の流れと主要なポイント
リビング=“公園”のような空間
著者(アミーゴ小池氏)は「リビングは公園になっている」と繰り返し強調する。
公園が誰でも気軽に立ち寄り、思い思いに過ごす場所であるように、現代のリビングも「家族がそれぞれ好きなことをしながら、ゆるく集まる空間」になっている。
従来の「家族全員が同じテレビ番組を見て談笑」というスタイルから変化し、個々にスマホやゲーム、読書などをしつつも、同じ空間で過ごすカタチが増えている。
プライバシー性のグラデーション
山本理顕氏の理論を簡略化した図を用い、「玄関 → リビング → ダイニング/キッチン → 洗面/浴室 → 寝室」の順番にプライバシー性が高まると説明。
玄関は外部(パブリック)に近く、寝室は最もプライベートな空間。リビングは“やや公共”寄りの位置づけになる。
お客さんを通す応接的な役割も担っているので、ある程度の“見せる空間”が求められる。
現代リビングの実態
「リビング=家族断乱の場所」という理想は今も残るが、実態としては各自がスマホやゲーム機で別々のことをしながらも同じ空間にいる形が多い。
これを否定ではなく、新しい団らんの形ととらえる。
リビングは「各個人がそれぞれに過ごしやすい」からこそ、公園のように人が集まる空間になる。
デザインの中心はリビング
外から見ると家のイメージは外観かもしれないが、内部から見ると「リビングのデザインをベースに家全体のコンセプトを決める」やり方がおすすめ。
外観/玄関/キッチン/洗面…など各スペースでバラバラのテイストにしすぎるとごちゃごちゃする。
「リビングでどんな雰囲気を作りたいか」を先に明確化して、そこからほかの空間のデザインを派生させるほうがまとまりやすい。
リビングは日当たりより夜の照明に注目
「日当たりが良いリビング」は多くの人が望むが、実際に家族がリビングを使う時間帯は夜が中心な場合が多い。
日中家にいる人が少ない場合、日当たり重視よりも「夜くつろぎやすい照明計画」が重要。
(ただしダイニングは朝昼の食事タイムに使うため、リビングよりも日当たりを優先した方が良いという考え方。)
リビングに家族を集めるための工夫
「外部空間を取り込む/開放感を演出する」という二つのポイントを強調。
外部空間を取り入れる:大きな窓やテラスとの床レベル合わせ、視線を遮る工夫。
開放感を演出する:吹き抜けや天井高を上げる、掘り下げリビングなど、人が「ここに居たい」と感じるような広がりを作る。
リビングの広さを決める際の目安
テレビ画面の高さ×3倍=最適な視聴距離という理論に基づき、ソファとの配置を考える。
テレビ~ソファまで2mほど確保し、その周りを人が通れる幅などを足していくと必要面積が割り出せる。
“最低限”の面積を把握したうえで、実際の用途や好みで大きくしていくのが基本。
SNS(Pinterest・Instagram)の活用
自分の好みを確立するためにPinterestでおしゃれな画像を大量収集し、Instagramで同じような建築事例や先輩オーナーをフォロー・情報交換する方法を推奨。
プロに「自分のイメージ」を伝えるときにも役立つ。
まとめ
リビングは応接や家族の集う場でありつつ、現代では“公園”のように各自が自由に過ごす空間へ変化している。
プライバシー性のグラデーションを理解することで、リビングが家の中で“外部寄り”に位置することが分かる。
リビング=家のデザインの中心
ここを先に決め、そのテイストから他の空間のデザインを派生させると“統一感”が出る。
日中より夜の照明計画が重要なケースも少なくない。
ソファ・テレビを基準に“最低限必要な広さ”を計算し、さらに吹き抜けやテラスとの連続性などで開放感を高めると、「みんなが集まりたくなるリビング」になりやすい。
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